『ダ・ヴィンチコード』

言わずと知れた鳴り物入りで世界同時公開されたこの映画。ネットで簡単に世界中の情報を得る事ができる現代では、ショッキングな謎を解くことが醍醐味のミステリーの、秘密の鍵をも簡単に、あるいは意図もせずうっかり見てしまう。世界が同時に封切られねばならないのはよく分かるが、しかし昔では考えられなかったことだ。


まあそんなことはさておき、映画はキリスト教のある宗派をキーに進んでいく秀逸なるミステリーだが、まったく宗教活動に縁の無い私をしても、娯楽を娯楽としてとらえられない熱心な信者とかがこの映画を見たら、「悪魔の詩」の著者みたいに原作者は暗殺者に狙われるんじゃないかと心配が心を軽くかすめる。やはり次の日はどこぞの国で抗議集会みたいなのが開かれたらしいが、奇しくも映画の内容も信心からなせる狂気が描かれているし、まあこの原作者もそれに抗議した人達も、お互いがお互いを狂気と見なすのかどうかは知らないが、それにしてもさすが世界で5千万部も売れたというだけあり、スケールが何しろ違う壮大な物語で見ごたえは十分だった。
私的評価★★★★★