ジョー・シンプソン『死のクレバス アンデス氷壁の遭難』


ほぼ垂直にそびえる未踏のルートで氷壁に挑み、登頂したのち著者が滑落、クレバスに墜落し、パートナーにザイルを切断され、命からがら一人で生還するドキュメント。最近新田次郎ばっかり読んでたので、「僕が」と一人称の語り口に臨場感を感じて普通にドキドキしながら読んだ。
でもまあやっぱり遠く離れた世界のお話であって、これ自体特になにってわけでもないんだけど、図々しくも大いに共感したのは、この著者が最初に滑落した際、膝を骨折したこと。折った右足を庇いながらの下山のくだりは壮絶で、山を登るたびヒザイタイヨー!!と悶絶の私は、この本で大いに勇気が湧いた。まだ30代のうちに体力勝負のアルプスは登っちまいたいと思う昨今、膝が痛くてめそめそし始めたらこの本のことを思い出そう。まあそこそこ面白かったよ。文庫本なのに千円ってのが許しがたいけど。