『少年H(上・下)』

今年に入って初の風邪を引いた。若い頃と比べて本当によく風邪を引くようになった。子供をばあさんに預け、久々に一人でゆっくりとできたが身体は辛く、一日寝ながら読んだのが出版当時ベストセラーとなっていたこの本だ。NHKでドラマ化されたものを見たのが10年以上前のような気がしていたが、出版は1997年となっていた。第二次世界大戦前から始まる少年Hこと著者妹尾河童の自伝的小説で、多感な少年時代から思春期を戦争と共に生きた主人公の情感溢れる体験が、ノスタルジックな情景の中に瑞々しい感性と共に描かれている素晴らしい作品だった。敢えてベストセラーだった本を讃えるのも気恥ずかしいが、でも久々に良い本と出会えたように思う。


風邪は小康を得たがまだ治らない。よく引くし長引く。若くないのだな・・・