動物園

名古屋市の東山動物園に行ってきた。子供の頃から学校行事で何度も行き、もうどこにどんな動物がいるのか、どの売店でどの食べ物が売ってるのか、勝手知ったる場所だ。でも子供の頃からあまり動物園が好きではない。種ごとに1頭から数頭しかいない大型の動物は、汚れて覇気もなければ美しくも無く、うつろな目をして一定のリズムで、一定の動きを永遠に繰り返している。狭い檻に押し込めた異常行動の動物を見ても、哀れ以上の何も感じない。今でも動物園の存在意義など全然分からないが、動物園がそこに存在している以上、子持ちの親ってのは休日に動物園に行くものであり、それは日曜日の夜にはサザエさんがやる的に当然のこととして、日本人たる私にすり込まれてしまっている。同様に動物園へ子供を連れて行く親はお弁当を作るのが義務とも思っていたが、急遽思いついて行ってきたのでそれはなし。


しかし予想に反して子は、売店で食べた「チキンライス」と称する、鶏肉が数切れ、玉ねぎが少々にグリンピースが一振りされただけの油っぽい赤い飯を、もりもりと美味しそうに食べていた。そういえば私も子供の頃は、高速のサービスエリアで食べる蕎麦や、自販機から出てくるハンバーガーが楽しみだったものだ。でもキリンの前で弁当を広げ、おにぎりをむしゃむしゃしているよその子をじっと見て、自分も口をむしゃむしゃさせているわが子はやや不憫。やはり次はお弁当作ろう。


久々の動物園はやはり、あまりいい気分になれる場所ではなかった。ただ小動物が放し飼いになってる所ってのは今も昔も好きだ。東山動物園にもそんなコーナーがあった。下の売店でオバちゃんが喋っていたのを小耳に挟んだ裏技を実行したら、本当にリスが目の前にやってきた。ただ子供が多すぎてすぐにリスと対面した私の周りに群がり、リスは嫌がって逃げていったが、人が少ない日は身体に登ってくるらしい。ヤギは意思の疎通がはかりにくい瞳で私の手をなめた。孔雀は羽を広げて悠然とお尻を向けていた。羽を広げた孔雀のその美しさといったら、豪華絢爛たるペルシャ織の絨毯だってこうはいかないというほどの、目もくらむばかりの艶やかさ。一年のうち繁殖シーズンの今から春先までしか羽は開かないそうです。良いもの見ました。