さらばうどん屋

無類の蕎麦好きの私だが、蕎麦アレルギーの夫と結婚して以来、もっぱらうどん専門になってしまった。かといって昨今の讃岐うどんブームもあり、美味しいうどんが食べられる店も増えた。しかしその中でも大学時代から通う、とあるうどん屋は別格の旨さだった。大学からの帰り道に寄れたのでよく行っていたが、回数は減ったものの卒業後も、車で30分以上かかる隣の市まで食べに行っていた。一年ほど前に2回行ったが、しかしその2回とも食べることはできなかった。1度目は日曜日の夕食時にも関わらずなぜか店は閉まっていた。2度目も3日間臨時休業と書かれた張り紙が張ってあった。昨日約1年ぶりに行ってみたところ、いつも満席で外まで行列のできていた店内は妙に空いていた。以前はオバサンとオネエチャンが忙しくうどんを運んでいたが、見慣れぬ兄ちゃんが手際も悪く注文を取っていく。出てきたうどんも、だしが濃くて最後の方はのどが渇いてきた。要するにまずくなっていた。しかし私は味覚には滅法疎い人間なので、勘違いかもしれないと、黙って食べ続けた。


店を出てから、恐る恐る夫にちょっと味が落ちた感じがしない?と聞いたら、夫も同じ事を感じていたようだ。1年前何かあったんだろうか。この程度のものを食べに足を運ぶ距離ではない。もう行くことはないだろう、これからうどんはどこで食べたら良いんだろうね…と帰りの車中は妙に暗い。それくらい美味しい店だった。また麺類を食べる機会が減りそうだ。