ABT『白鳥の湖』

最近リージョンにお困りの、同じ教室の皆さんからピーコして〜という要望と共に色んなDVDが集まってくるので、色々見させていただいている。パリオペに続き見たのはABTの白鳥湖。とても最近の作品みたいで現役ダンサーばかりだし、演出も最新のものと思われ物珍しい。アジア系、ヒスパニック系、よく分からんけど白人系が組んずほぐれつ肉感的に踊りまくる様はさながらブロードウェイのミュージカル。冒頭、人間オデットをロットバルトが拉致し白鳥に変えるプロローグ付きでより物語色を強くし、1幕結婚しろとうるさい母親に心底うんざりしてる人間的王子、2幕出会った瞬間からマイムで悲劇の一人語りをペラペラしまくるオデット、3幕踊りまくり各国の姫や王妃までも色香に惑わせるフレディ・マーキュリーみたいなロットバルト、4幕見ててうんざりするほど絶望しきって崖から飛び降りるオデット、とにかく物語が全編において、振り付けもあちこち変えてはどれも技巧を尽くしてるし、リアリティを持たせるエピソードのようなものも織り込んであるのだけど、700グラムのTボーンステーキの後に、バケツに山盛りされた、溶かしバターとキャラメルのかかったポップコーンが出てきたような、くどいな〜という舞台でした。熾烈な戦いを繰り広げるアメリカのショウビズ界において、いつまでも安心してみていられる分かりきった古典など流行らんというのは白鳥湖にとっても同じことのようで、好みの問題なのでこれが良いか悪いかなんて分かりませんが、あんまり夢夢しいキレイ!てな舞台ではなかったので、そういうのを好む私はあんまり好きじゃありませんでした。