十四日目・旅の終わり


二週間の旅も、この日が最後。やるべき予定は、15:30から練馬区で行われるバレエの発表会を見に行くことのみ。最終チェックアウトは10:00なので、妙に居心地の良くなり始めた部屋でダラダラテレビなど見ながら過ごすうち、はたと思い出した。
確かこの日、高校・大学と同級生だった現代作家、山田純嗣氏が日曜美術館で案内されるということだった。身支度を整えながら待つが、待てども待てども出てこない。将棋始まっちまう! と手に汗握っていると、9:55くらいでようやく山田氏の登場。短い!! でもテレビで紹介とかすごい!! 余韻に浸る間もなく、チェックアウト時間ぎりぎりで宿を飛び出す。前日のチェックインも時間を過ぎていたし、色々ご迷惑おかけした。

その後は東村山のイオンモールで娘の服を買ったり、アナ雪のDVDを買ったり、名古屋にいるときと全然変わり映えのない午前中を過ごし、ふと気付くともうあまり時間に余裕がない。途中でお昼ご飯をと思ったが、車だとなかなかそのタイミングが難しく、結局食べぬまま会場に着いてしまった。


東京まで来て、プロのバレエ団ではなく一お教室の発表会を見るという経験も初めてだが、生徒たちの頑張りは愛知も東京も変わりない。裏方であるお母さん方の働きも変わりない。生徒たちはみな楽しそうに踊り、上手な子、そうでもない子、みんなそれぞれに伝わるものがあって、楽しむことができた。



終演後に、お友達の立野京介さんと。彼とは15年以上にも及ぶ奇縁があるものの、こうして踊っている舞台を生で見せていただくのは初めてのこと。元来舞台人である彼は、バレエのテクニック云々よりも演技で目を惹きつける役柄を演じており、その姿にはとても感動させられた。



キョンコちゃんどうもありがとう!



終演まで残ったので、どうせこの日のうちに愛知へはたどり着けない。のんびり車を走らせ、高速のサービスエリアで夕食。昼を食べなかったのでミニチャーハンとセット。なんかこんな日、北海道でも一度あったな。

こうして感傷的でもなく、特別な何かを食べるわけでもなく、淡々と、静かに旅は幕を閉じた。色んな人と会えて、色んな経験ができた。ただ一言、楽しかった。思い通りになった日もならなかった日も、それぞれ楽しかった。

旅が好きだった父、好きだったかどうか知らないけど姉、どうだっただろう。
我儘を許してくれたカツノリどうもありがとう。ご苦労さん。またよろしく。