甲武信ヶ岳(二十五座目/百)
ずっとぐずぐずした天気が続く中、どっか日帰り登山でもしてこようかしら〜(じゃなきゃ死ぬまで百名山は終わんないわ)、とチョイスしたのは苗場と甲武信。いつもアドバイスをくれる方が苗場は晴れてなきゃ面白くない的なことを言っていたので、天気が悪くなってもそれなりに楽しめそうな甲武信を目指す。ただ問題は、夕方までに戻って娘を塾へ送り届けねばならないということ。考え出すと行くのを辞めてしまいそうなので、とにかく家を飛び出す。
【行き方】
今回は日帰りのメジャールート、毛木平登山口を採る。中央道長坂IC下車、県道28号〜国道141号〜県道68号へ。141号から68号へ右折するときはカーブの直後に右折なので、夜だと分かりにくそう。68号をひたすら直進して、最後の最後で少し砂利区間があるけど距離は短い。総じて分かりやすく走りやすいアプローチ。
夜は八ヶ岳PAで二時間ほど仮眠を取り、4:30毛木平駐車場到着。簡易水洗トイレあり。駐車場は既に前泊組で半分以上埋まっていた。この時期シャクナゲのシーズンなので人が多いらしい。にしても五月末の平日でこれなんだから、ハイシーズンの週末はかなり混みそう……。
身支度を整え、4:45スタート。立派な看板に広い道。
道は広々として、緩やかに登っていく。薄曇りだがそれがちょうど良く、スイスイと爽やかに歩く。こりゃ2リットルの水は必要なかったか。
「千曲川源流遊歩道」と名がついているとおり、千曲川の流れる音を終始聴きながら沢沿いを歩く。
6:15、ナメ滝。ナメ〜っと滑らかに水が岩の上を滑っていく。
右が新しい橋、左が古い橋。新しい方が水面より高い位置にあるので、落ちたときのダメージを考え古い方を歩きたい……けど一応新しい方を通った。新しいものが好きなの。
上へ行くに従い川幅は細くなり、川沿いを右へ左へ。
ときには流れの中を横切ったり。
ときには流れそのものが登山道だったり。
7:20、水源地標。
標から階段を数段下ると、まさしく千曲川の水源が。木の根元から、一筋の流れが湧きだしている。たくさんのせせらぎが集まって流れを作るのではなく、本当にこの一筋。ここから上には染み出す水もない。
水はザックに2リットル+350ペットボトルを一本持って来たが、まだ350を半分も飲んでない。そこにきてこの源流。手がちょん切れるほど冷たい水を掬って飲み、あらあら美味しい、ああ今日はこのパターンだ、水が重いパターンだ、逆に空ペット持ってきて源流の水でも汲んで帰りたいくらいなのに、なんだこれ重いわ。とひとしきり腐る。
ずっと水の音と共に登ってきたが、ここから先は周囲が静まり返る。苔むした、綺麗な静寂の森。
道にちょこっとだけ残雪。この冬は雪が少なかった上に、梅雨入り前は気温の高い晴れた日が続きまくっていたので、例年より雪の消えるのが早かったんじゃないだろうか。
ほどなく稜線に出る。あ、富士山!
最後の最後だけ、ちょっと登山道っぽい感じになるが、本当に少しの距離。
8:10、登頂。先着のご夫婦に撮って頂いた。聞くとその方たちは私の家からそれほど遠くない場所に住んでおり、ひとしきり近所のイオンの話などで盛り上がった。
空は雲に覆われているものの、高曇りで八ヶ岳の姿などははっきり見えた。まあ素敵。
などと一息つきながらふとずっと考えたくなかったことをいよいよ考える。
このあと、娘を塾に送らなきゃなのよねえ……
やだ間に合わないような気がする。急がなくては。
一旦反対側へ下り甲武信小屋へバッジを買いに行く。
すんませーんバッジ下さい!!! あ、誰もいない!!!
カンカンにお金を放り込みバッジゲット。急いで戻るのだ!
上部の下りが微妙に恐い! でも急ぐ!
あれ、そういえば今ってシャクナゲのシーズンじゃなかったか? あった? シャクナゲあった? あ、あった!! て咲いてねえじゃん!!
緩い道が幸いしてびゅんびゅん下ることができ、11:15駐車場へ。まるで別荘地のようなこの佇まい、歩きやすくて見どころもいっぱい、人気なのも納得。そこを駆け下りるなんてもったいないわね。
塾へ送るまでに残された時間はあと5時間。前日は2時間しか寝ていない。4回もSAで休憩したり、高速のセンターラインを跨ぎ半分寝ながら走ったり、危険極まりない運転で、家の前に辿り着いたのが16:19。約束の16:20の一分前、奥秩父から愛知まで、なにこの神がかりなペース配分! すごい私!
いや神がかりだったらきっともっと早く戻ってこれたよね。ていうか山に行かないんじゃないかな。行く前にもう少し頭使おう。