長崎二人旅〜その2

Odiel2007-10-16



2日目
宿泊したホテルに程近い、出島があったあたりを散策。既に出島あたり一帯は江戸の世から数えて何代目か、この間に埋め立てられて、今は単なる出島跡地となって、プチテーマパークとなっていた。長崎港界隈を散々歩き回った後、この旅の一番の目的である端島軍艦島)を見に行く。端島を巡る観光船は色んなツテであるらしいが、とりあえず一番オフィシャル?な手段での観光クルーズを予約した。端島とは縁もゆかりもない私だがこの島への思い入れはかなり強く、他のトーシロと玄人のアタシが一緒にされるなんて!!(←無縁のトーシロの弁)と若干この「観光クルーズ」に躊躇もあったのだが、あらゆる、上陸も含めた、私設?の手段で接近する事の方が抵抗がある。この島は想像力が欠如した廃墟マニアのアホに蹂躙され荒らされている。そのことについてゴタゴタと書き並べるつもりは無いが、この島で生まれ育った人たちは、犯された故郷を見るくらいならば、跡形も無く消えたほうがまだましと思ったりしないのだろうか?端島を故郷とする人たちのことを思うと、こうして野次馬根性ではるばる飛行機に乗ってやってきた自分も含め、後ろめたく恥じ入る気持ちと葛藤する。しかしそれを押してもどうしても見たかった。船上から眼前に広がる光景は、目の前にあっても手の届かぬ幻影のようで、本のページを繰るようにもどかしく、映像でも見ているような現実感の無さだった。ほんの一周を終えると端島を後にし、港へと向かう。徐々に徐々に、小さくなる島をいつまでも見えなくなるまで目で追い、目の前で見ても、こうして視界の端に米粒ほどのかけらを残して消え去ろうとしている島影を見ても、印象としては何故か大した違いも無い。ただ見たことがあるという実績だけが刻まれたが、あまりの時間の短さと船のエンジンとアナウンスの五月蝿さとうねりの高さの前に、残念ながら、深い感動は味わえなかった。でもそれでいいのかもしれない。私はあくまで招かれざる客人なのだから。
船を下り、中途半端な時間だったので、眼鏡橋というなんぞ有名らしい橋があるってんで、貧乏旅行なので徒歩が基本、馬鹿馬鹿しくなるほど気分的に遠い距離をひたすら歩く。橋についても特に事前の知識があるわけでもなく、何がすごいのかよく分からないけど、まあこんなもんかという感じで、また歩いてホテルへの帰路へつく。また娘を文句言いながらお風呂に入れて、部屋で一杯やった後に寝ようとするが、疲れすぎてなかなか寝付けなかった。

3日目
3日目は全く何も考えてなかったので、とりあえずグラバー園に向かう。もうクラクラしちゃう観光地っぷりに辟易しながら、仕方なくも流れでそのまま、グラバー園の次は国宝・大浦天主堂へ。国の宝だろうとなんだろうと、清水に向かう参道みたいな商売っ気がむんむんで長居する気が起こらないので、ありがたみも無く適当に見てオランダ坂へ向かう。オランダ坂は確かに、異国情緒漂う、いかにも絵になる美しい坂の町並みだったが、子連れで歩くのはなかなか大変だった。基本住宅地なので一旦踏み込めば歩き続けるしかない。その後はまた長崎港あたりをうろうろして、中華街に行ったもののびっくりするほどショボくれててすぐに帰り、ホテルの前にあった居酒屋で最後の夜を過ごす。程近い漁港であがった魚のお刺身を食べて、焼酎を超特急で散々飲んで、なんとなく人心地がつく。ようやく長崎という地に慣れてきた、これが最終日ということが酒に酔ってしみじみ感じられ、娘をお風呂に入れながら、この日ばかりは文句じゃなくて「寂しいね」と語り合う。旅の行程で突然娘はよく語るようになった。次の日はいよいよ最終日。