懐かしの味

タクアンさえあればご飯を食べる娘のために色んな沢庵を買っているのだけど、敢えて今まで手をつけなかった「炉ばた漬」を買った。子供の頃から売られているロングセラーの「炉ばた漬」はしょうゆ漬けの沢庵で値段も安く安定供給されていたので、娘同様、漬物さえあれば結構だった私の父親はいつもこれを買っていた。沢庵と言えば私にとってこのしょうゆ味の漬物のことであったから、普通の(しょうゆ漬け以外の)沢庵を食べたときは、タクアンってこんなおいしいの??と目からうろこが落ちた。まあ要するに「炉ばた漬」って美味しくなかった。ここ数週間、原料の大根がダンボールだったのか殺虫剤で漬けられているのか知らないが、タクアンがあまり店頭に並んでいないにもかかわらず、「炉ばた漬」は子供の頃同様にやはり安定して売られている。20年かそれ以上か振りに食べたそいつは懐かしい味、という以外に特筆すべき味もなく、ただ私ほど長く生きてくると五味にプラスして味のシックスセンス「懐かしい味」、それだけで物を食べられる。駄菓子みたいなもので不味いと分かりきっているのに買っちゃうみたいな。娘はバリバリいえばそれでいい的に食べている。ご飯と一緒に食べなさい!と私。なんかそのフレーズもすごく身に覚えがあるような気がする。