失恋


障害のないごくありきたりな恋をすることはそこそこ良いことだと思うけど、失恋についてはごくありきたりな失恋だろうと本当にやだ。私が身を引き、いとも簡単に失恋することを想像する。かつての恋の終焉を回想する。それだけで立っていることもできず座り込んで泣いた。失恋は本当にやだ。その度に心臓がもぎ取られるような痛みを味わった。何度繰り返しても慣れることなど無かった。ただ、今私はこうしてここにある。失恋で死ぬことは無かった。私と関わることは相手にとって人生の停滞に他ならない。死ぬわけじゃない。恐れてはいけない。