感受性の衰え(2)

これから仕事を変わる事になるので、今の職場に思いを致すことがちょっと増えてきました。この会社に入ったときの印象…ああ、なんか暗くて汚いなーと思ったような気がします。でも今はわざわざ、ああこの会社は暗くて汚いなーなんて改めて考えたりはしません。良くも悪くも、何も感じない日常になったということで、それ自体は人間としての機能なのだから良し悪しなど無いでしょう。毎日驚いていたら心が持ちません。
以前、私はとても大切な人に詩を贈りました。暗くて汚い会社に休日出勤したときに見た、不思議な虹から連想した詩です。人がいない会社は、それこそ非日常の光景でした。目がクラクラするほど校正を夕方までやりつづけ、疲れた目を窓に向けると、ずっと降り続いていた小雨が上がり、夕日に照り映えた虹が、地面から何本も空に弧を描き、その橋脚までくっきりと、姿を現していました。思わず同僚を呼びに行き、しばしオッサンらと3人で窓の外を眺めました。私と同じように虹だ!と叫ぶ人がいてよかった。私と同じようにすごいなと思って、きれいだなと思ってる、この人達がいて嬉しいと思ったものです。