木曽駒ヶ岳 二回目 2/2

遭難記念碑を通過した後は、馬ノ背の急登。



ここにきての最後のこの傾斜は、もう膝必殺。ていうか膝とかなんとかではなく、とにかくもう、疲労困憊。風も強く、展望はしばしばガスで閉ざされるようになる。ストックを片付けて、よじ登っていく。時間がまだ早かったので、ゆっくり行くことができるだけまだ、わずかに救い。



へろへろになって、ようやく山頂。朝7時に出て相当ゆっくり登ってきたとは言っても、まだ3時半。でも一面白いガスの壁で散策する気も起きない。というかそれ以上に足が痛くて一歩も余分に歩きたくない。山頂小屋まで「あと4分」の看板から10分以上かかって、倒れこむように到達。17時には肉じゃがとご飯の晩餐を掻き込み、濡れた下着を換えるのもおっくうで、そのまま18時には就寝(寒い)。疲れていたので、この時間からでも意外と寝れる。朝は5時前に朝食。夜より更に寒い。雨こそ降っていないが一面真っ白で、風が轟々と音を立てている。予報通りの悪天候。でも食堂ではお味噌汁もあったかいゆで卵も食べれて非常に感激。山小屋初体験の私にとっては、想像したより食事がデラックスだった。物資はヘリで運んでるらしいけど、人の棲まざる場所で、こうして猛烈な風雨をしのぎ熱いものを食べれる、ということへ素朴に感動した。



頂上は荒れていた。周りは何も見えず、押し倒されるほどの強風なので早く下山したい。ひたすら寝てただけなので、膝の疲労も随分回復した。下山したら下界は晴れているはず、温泉とソースかつ丼が待っている。立ちふさがる白いガスにソースかつ丼を見る。まって〜いかないで〜かつ丼



下山は来た道ではなく、「聖職の碑」コース。この道を遭難した人々が暴風雨の中倒れて行ったのだ…とか感慨にふける余裕は全くない。風は無いけどぬかるんだ細い登山道。ガスでしっとり濡らされながら進んでいく。樹林帯に入ってからはたくさんの高山植物が咲いていて、大して植物に興味のない私でもちょっと反応してしまう。まあ晴れてればたくさん写真も撮ったんだろうけど、霧だし・・・カメラ出すと濡れちゃうし・・・



8合目の馬ノ背分岐にほど近い濃ヶ池。ほとりには小さな観音様か何かが立つまさに賽の河原で、霧の中音もなく、彼岸に立つとはかくあらん、心細い思いだった。

ここからは昨日来た道をひたすら下る。霧の中から現れる遭難記念碑の方が、その由来として風情がある。もうここには来ることないだろうな〜と思いつつ通過。触っとけばよかった。でももう余分なことは例え1歩たりともできないほど、膝は予断を許さない状態で、写真も撮らず、周りを見ることもなく、ただひたすらに下山することだけが目的の下山。足が完全に動かなくなる寸前で、桂小場登山口に到着。なにをどう下りてきたのか、もう何にも覚えてません・・・とにかく、登りの何倍も下りは辛かった。と相変わらずのコメント以外浮かばん。

山小屋泊りだったので入浴も着替えもしてないから、とにかく日帰り温泉へ直行。足を引きずりながら湯船へドボン!下着も換えてスッキリ!ソースかつ丼を満腹平らげ、地ビールでええ気分になりました。帰ってきて、こう人並みなことをしてると、なんとなく山のことは忘れてしまう。で、こんな辛かったのに、碑晴れとったな〜かつ丼旨かったし・・・と良いとこばかり覚えてるから、またヒザぼろぼろにしながら、どこかの山に登るんでしょう。非常に印象深い山行となりました。