病院を変えた

大きくて新しくて設備が整ってて、医師も常時数人いる評判のいい獣医ってことで、はるばる遠くからも患者がやってくるでっかい動物病院が近所にある。いい病院が近くにあって良かったね〜と言われ、特に疑問も抱かず通っていた。けどそういう病院の常で、医師が多くても患者の動物は更に多い。診察も短い。なんといっても、ここ数年は医師が若い人ばっかりになって、ねずさんの担当はアイラインが太くて長くてはねてる女子で、ワクチン打つだけとかじゃあるまいし、どうしてもこいつに任せとくのに不安があった。このギャルだけじゃなくて、行くたびに医師がころころ変わって、なんか前回の医師がカルテに書いた通りの処置をしておしまいってのも腑に落ちなかった。検査はできないので、緩和ケアしかできないと口をそろえるお医者さんたち。別の病院で同じことを言われたら諦めようと、最後のあがきで病院を変えてみた。
車で30分、市を二つ越えて行った腫瘍を得意とうたう病院は場末のスナックみたいな佇まいで、入るのを躊躇するほど汚くて暗かったけど、これまでの病院とは比較にならないくらい良い先生だった。

結果は、癌だと言われてたのに癌は無かった。ほぼ悪性腫瘍と言われていたのに、その確率は5%以下だとも言われた。ただ、心臓病だった。不治の病で先が長くないのは変わらない。でもようやくスタートラインに立つことができた。胸に通されたドレーンは「意味がない」と引っこ抜かれ、もう包帯も巻いていない。それだけで元気になったように見える。介護は、ちょっと軽減された。