空木岳(七座目/百)


原稿の締切がもうあれで大変だったので、7月はたまの山登り以外は運動もせず、8月は丸々一か月、あらゆる運動をしなかった。靴すら履かない日の方が多く、猛烈な運動不足に陥っていた。

9月に入ってからは受けられる全てのレッスンを受けて、少しずつ体力のリハビリに励み、ちょっと自信を取り戻してきたので空木岳へ挑む。ここ数年間は毎年木曽駒に登っていたけど、今年は登ってないので中央アルプス恋しくなったのと、私の中で日帰りとしては結構ハードコースなので、体力の回復具合を測るのにちょうど良いと思ったこと、その二点で空木に決定。



5:30、池山口の駐車スペースに到着。林道終点まで車で行くことはできないので、ちょっと手前に駐車。秋の三連休中なので、もう既に一杯。他に15台くらいはいただろうか。道路にも駐車の列が伸び始めている。駐車場のすぐそばに沢が流れ、空気はかなり寒い。支度を整え出発する頃、ちょうど日の出を迎える。



駐車スペースから林道終点の登山口まで30分ほど登る。出たな……。「車から登山口まで」の嫌な距離に今回も不穏な空気が漂う。
それはさておき、木々から漏れる朝日はきらっきらに輝いてて、抜群に好天。山行前としては珍しくときめく。



ときに平坦にもなる歩きやすい緩斜面を進み、8:30迷い尾根の入口に到着。道が険しくなるので注意を促す看板がある。終点にも同じものがあるので、この区間はストックをしまっとくといいよ。
さて細く痩せた尾根からは、支尾根がたくさん出ている。ロープが張ってあるので迷うことは無いが、なんかの拍子でこのロープが外れてたらかなり恐ろしいと思う。実際迷い込んで亡くなった人もいるとか。



大地獄を経て小地獄を通る。その名前ほどには難所じゃないけど、登りにくい道がしばらく続く。この階段は一段の幅が狭すぎ……かといってはしごみたいに手が掛けられないので半端。



よいしょ



よいしょよいしょ



途中で朝食なのか昼食なのかよく分からん食事を摂りつつ、10:50樹林帯を出る。
とにかくこの日は時間に追われていた。この写真で右から3つ目のピークが目的の山頂。はるか遠くに見えるあの山頂へ、どんなに遅くとも12:30までに到達しなければ撤退と決めている。ようやく開けた展望を楽しむ余裕もなく、先を急ぐ。



ハイマツを分けて進む登山道。



見下ろせば下界の街並みまでがよく見える。なんという素晴らしい天気!ここまでくっきりと見下ろせる好天にはそうそう恵まれない。



11:05、一つ目のピークを過ぎる。あれ?見た目ほど遠くない。頑張ればいけそうな気がしてくる。



空木岳(の手前)のシンボル、駒石を通り過ぎるとほどなく駒峰ヒュッテ到着。とてもきれいな小屋。



雨水を使った水洗トイレ。掃除も行き届いておりました。



残すは100m。それにしてもなんという美しい空!余りの青さに目がくらみそう。



12:10登頂。間に合った!



すんなり下りてしまうのがもったいないほど素晴らしい光景。通ってきた道がどこまでも見通せる。



木曽駒への縦走路へ目を向ける。連休中のこの絶好の好天、さぞ千畳敷は混雑していることだろう。10分間山頂に滞在し、後ろ髪引かれる思いで下山を開始する。


とにかく素晴らしいの一言だった空木岳。やっぱお天気じゃないとダメだって山登り!
同じ山域だから当然なのかもしれないけど、登山道の感じや、稜線に出てからの岩肌の感じ、果ては空気までが木曽駒によく似ている。私が初めて登った山が木曽駒なので、深い思い入れがある。だからこの空木岳も好きだ。まあ、天気が悪かったらどう思ったんだろ。
果たして17:00、なんとか日没前に下山する。しかしやっぱり、車までほんの10分未満が歩けない。ほんとやだこの車までって道。



そうそう、今回から登場した新しいツール。モダンとかコンテンポラリーとか、裸足で踊る人が装着する足裏パッド。いつも登山靴を履くとこの肉球部分が痛くてしょーもないので、ちょっと試してみたら効果抜群。バレエ用品店には足裏保護用品が色々あるので、山で使えるものも多いよ。
それにしてもバレエ復活して1か月、ここまで違うかというほど身体に痛みが出ずによく動けた。頑張った自分。私のように基礎体力が著しく人並み以下では、やっぱ普段から運動しとかないとだめだな。