蝶ヶ岳
去る2011年7月17〜18日と、常念から蝶ヶ岳へと向かう縦走をした。運動不足の身体でへろへろになり、景色を見る余裕もなく、とにかく壮絶に疲れた記憶しかない。
まあそのときはそれでお終いだったわけだけど、その後、蝶ヶ岳のピークと思われる場所に立っていないことがずっと心残りだった。なにしろあたしゃ縦走したわけだし、この際蝶ヶ岳往復なんてちょれーもんだろうと、秋も深まり始めたこの日、ちょっと天候は心配だったが思い立って出発することにした。
7:30、三股駐車場。車は10台ほど。雲が低く垂れ込め、見るからに寒々しい。
ちなみに夏の連休中、同じ駐車場を別アングルから撮ったのがこれ。路駐の列は数キロにわたって駐車場から伸びていた。この違い!
なにしろ今回はガラッガラなので、ゲート直前に停めてやった。いつも悩まされる「登山口から車まで」の苦行は、今回無し。
前回はボロボロになった足で下山したので辛かっただけだろうと思っていたのだが、今回登ってみて、いきなり急登が続くことに気付く。縦走で疲れ切っていたから大変だったわけではなく、この蝶ヶ岳への登山道というのは普通にきついものらしい。
そしてさらにきつく感じさせていたのが天気。景色も見えず、紅葉も終わって積み重なった葉を踏みしめながら歩き続ける。カサカサカサ・・・
8:10、唯一の水場、力水を通過。
蝶ヶ岳の恐竜として有名な倒木跡。口の辺りに大量に石が突っ込んである。こいつめ!やるのか!来い!やってやるぜ!
さ、行こう。
9:20、登山道で唯一の平坦地、まめうち平。この前後にしか緩斜面はなく、基本的にほぼ急登。
ずっと天気はこんな感じで、11:30、最終ベンチの看板。ここに至るまでにいくつかこの看板があるんだけど、削られていたり落ちていたり、肝心のところが読めない看板ばかり。しかもベンチっていうか、濡れた丸太。座ったらお尻べっしょりになりそう。
12:00、大滝山分岐。稜線が近付き、周囲は一層寒くなる。展望はなし。私のやる気もなし。足元の土には霜柱が立っている。
大滝山分岐から数分で蝶ヶ岳ヒュッテ到着。なにしろガスがすごいので、突然現れた感じだった。
この時点で相当寒さにやられていた。この日小屋じまいのヒュッテ内でストーブに当たりながら持参の弁当を食べたが、温かいものが食べたくて泣きそうだった。下着が汗で濡れてしまって、上に何枚重ね着しても寒い。外はガス。頭の中は「もう帰りたい」一色。
ヒュッテからほど近く、前回縦走した時もほんの少しだけ脇に逸れれば見つかったはずの、蝶ヶ岳ピーク。ああここですか、そうですか・・・
強い風が吹き抜けると、雲の切れ間から一瞬常念方面が見えた。しかしすぐにまた白い壁に消える。この次の週から蝶ヶ岳も雪に閉ざされ、冬山へと姿を変えた。
そしてやっぱり、日帰り登山でも下山はきつい。なんだかんだいっても北アルプスだからね。蝶ヶ岳だからって甘く見てはいけませんでした。展望があれば最高の場所なんだけど。