燕岳


梅雨の中休み。まだ残雪があるものの、夏山装備で歩けるようになったという燕岳へ。車の中にヨガマットを敷いて、先日買ったシュラフに包まると意外なほど快適〜!もっと寝心地悪いかと思ってたけど、これなら全然OK。しかも長距離運転後すぐに登るより、断然身体は楽だった。今後はこのスタイルで定着すると思われる。

【行き方】登山口はどこかしら・・・と迷うことは多いけど、ここは中房温泉のすぐ横が登山口になっているから分かりやすい。だからナビで「中房温泉」と入れれば出てきます(省略しすぎ)。中房温泉の駐車場は登山者用ではなく施設利用者用(利用するなら無料、でも営業時間中しか停められないよ)。無料で停めたいなら登山者用の駐車場に停めましょう。


前泊初心者なので、行ったこともない林道を夜中に走る勇気が無い。だから梓川SAで車中泊。でも周囲の車のアイドリング音とか、ドアをばたんばたんする音がウルサイの!本気で寝ようと思ったら端っこじゃなきゃ無理っぽい。何度も目が覚めてしまったけど、前述のとおり寝心地自体は意外と良い。


梓川からさらに一時間以上かけて登山口駐車場に到着。第一から第三まであるけど、ほぼ満車。一応停めれたけど、これで夏になったらと思うとあな恐ろしい。装備を整え、4:50出発。



正面の階段が登山道入口、左手は水洗の公衆トイレ、右手は中房温泉。この位置関係素晴らしいわね。



毎度お馴染み、私のおケツショットからスタート。燕岳はいきなり急登から始まる、と書いてあるサイトは多々あれど、うん確かに急登からスタート。でも距離的には短い。それでいて見どころは多い。きついながら人気があるのも頷ける。


5:40第一ベンチ、6:15第二ベンチ、6:45第三ベンチと約30分おきにベンチ通過。どのベンチも喫煙者がいて、近付けば匂いでベンチに近いことが分かる。登山の間くらいタバコ我慢してよ!私はよほど疲れてるとき以外座って休憩しないからまあいいんだけどさ、数少ない休憩所で臭い空気吸わされる非喫煙者は気の毒だわ。



7:40富士見台ベンチを通過して間もなく合戦小屋の看板が。まだ新しいものの様子。「合」の字に昭和な意匠を感じるよね。



8:00合戦小屋。夏にはスイカが名物なんだって。ここから上は、いわゆる北アルプス三大急登の合戦尾根。



合戦小屋を過ぎてすぐにグッサグサの残雪が現れる。



夏道が出ているところも多く、多分7月までには全部溶けるのではないかしら。



雪を歩くときは常に薄目状態。こんなに残ってるとは思わなかったのでサングラスもなく、紫外線に目をやられまくる。しかも下からの照り返しで日焼け、顔が真っ赤に……。



尾根道なので展望が開き始める。あのピョコは槍ね!と見るたび反応してしまう。やっぱりあの形を見ると何度でもウワーって思う。



9:05燕山荘が間近に。ここを過ぎれば燕岳がついに姿を現す。



小屋の陰には雪が残っていた。ちなみに私の身長は172なので、結構な高さまで残ってる。
そういえば合戦尾根、気付いたら終わっていたという感じだった。距離も短いし、北ア三大急登なんて恐ろしげなものではなかった。「三大……ガクブル!」みたいな特別な怯えは要らないように思う。今回は残雪でアップダウンが少なかったこともある。でもここと同じような、もしくはそれ以上の急登も他にあるし、ここが特別すごい急登だとは思わない。もちろん簡単だという意味ではない。三大かどうかは置いといて、急登なのは違いない。ただ余計な気負いは無用じゃないかな。



燕山荘の外には休憩用テーブルとベンチが並び、既にたくさんの人。私もベンチに座ってお昼ごはんにありつく。疲れた身体に炭水化物がウマい!テーブルから臨む燕岳は絵のようだった。

さてこの山の特徴は、若い男女の二人組が他の山より相当多いところだと思う。あと、なぜか喫煙者も多い。単純にパイが多い以上の喫煙率だと思う。なぜなのだ。君たちのどこに、私のおにぎりをタバコ味にする権利があるというのだ。私のおにぎりは君たちの権利の一切を侵害することはないのに。わたしゃね、タバコを喫ってもいいバーで隣の人がタバコを吸ってても平気だよ。居酒屋で友達がタバコを咥えりゃライターを渡してやるよ。でもねえ、山ではやめてよ山では。時間と労力と金を使って苦労してやってきた滅多に来れない場所で見ず知らずの人から不快にされたくないの。



お腹もいっぱいになったしタバコも臭いので(まだ愚痴る)、休憩も早々に切り上げ山頂を目指す。そしたらなんと、オス雷鳥があっさりと岩で休憩していた(写真では岩のくぼみに、後ろ向きに座っている)。え〜〜?こんな普通にいるの?と立ち止まってぎょえ〜〜っとなってるのは私たちだけ。当たり前な光景なのかしら。初雷鳥



続いて、ゲンコツ大くらいの鳥がちょんちょんと歩いてくる。立ち尽くす私の足元に平然と近づき、時折地面をつついては虫を食べてる様子。



そして私の靴先10センチのところをちょんちょん通り過ぎ、そのままちょんちょん登山道から外れていった。か、か、カワイイ


(家に帰ってから調べたらイワヒバリでした)



10:20、燕岳山頂。予想外な標が埋め込んでありました。石柱みたいなやつではないのね。



山頂から、北に向かって伸びていく稜線を臨む。さらに北方には岩と雪の殿堂、剱岳が。ひっそりと野心を燃やす。
やや雲は多いものの素晴らしく晴れ渡り、梅雨の最中にこんな天気に恵まれたのは本当にラッキーだった。……とみんな私と同様自分の幸運に浸っているらしく、山頂はどんどん人で溢れてくる。すぐ降りるのももったいないけど、5分ほど滞在して下山開始。



と、なんかニワトリ大の生き物が登山道でもがいてるんですが……。



メスの雷鳥ちゃんです!近い!張り切って砂浴びしていました。



私ったら、イワヒバリが相当至近距離でも平気だったのでライちゃんも良いかと思って、近寄りすぎちゃいました。驚いたライちゃんは砂浴びを中断して逃げてしまった。ご、ごめんね……(写真は名残惜しく撮った砂浴びの跡)
とはいっても大して離れるわけでもなく、その場を通り過ぎる登山者たちのアイドルとなっていました。天然記念物稼業も大変だね。君たちの生息域にまで踏み込む、図々しい私たちを許しておくれ。



11:15、下山前に燕山荘から周囲を見渡す。山荘の前は広々として、アルプスの山々がどこまでも見渡せる。下界から4,5時間程度でこんな景色が見られるのなら、そりゃ人気だよね。良い山だ。

下山は一秒も休まず、自分の能力を超えたハイスピードで歩き続ける。というのも昼過ぎて出始めたやつら、そう、虫のやつらのせい。まさか北アにまでこいつらがいると思わなかったけど、残雪期ってどこでもこんなものなのだろうか。一秒でも立ち止まれば耳と言わず鼻と言わず飛び込んできやがる。いつもコースタイムぎりぎりの私たちが2時間ちょっとで下り、もう膝も足もボロボロ……楽しみにしていた温泉も、虫がブンブンの中房温泉で入る気にならず、林道を降りたところにある国民宿舎有明荘まで行った。でも人も少ないし綺麗だったから結果オーライ。新しいのかな。



ところで、私は山から帰ってくると、ちょっとでも身に着けたものは衣類は勿論、ザックもポーチも靴も全部洗います。あまり洗濯すると耐水性能が落ちるとか生地が傷むとかいう話も聞くけど、汚れたものを着るくらいなら、キレイなまま身に着けて、性能が失われたら買い替えるという方が気分が良いのです。汗が残ったまま陰干し程度では、そっちの方が生地によくないような気がして。。だから高いものは持ってないけど、安くてもキレイに使ってると自負してます。みなさんはどうしてますか?