御嶽山 三回目


八月末締切の原稿を落としてしまって、もうなんかやってらんないよね。山でも登ろうかしら。なんつって思ったものの、あんまり激しい山も気が乗らない。日帰りできるところから探し、過去の登山でなんとなく心残りのあった御嶽山をチョイス。
心残りその1は、前回まだ山バッジを集めるという収集癖に目覚めていなかったので、バッジを買っていなかったこと。心残りその2は、前回かなり二日酔いがひどくて記憶が曖昧なこと。心残りその3は、その二日酔いのせいでお鉢めぐりできなかったこと。
今回は前泊で、酒も飲まず、万全を期して挑むことに。

……と思ったものの、夜中に田の原に向かう道を運転したら、自分が運転してるにもかかわらず車酔い。くねくね過ぎるわ!到着してからも頭フラフラ。頭痛と吐き気の中、仮眠。



あらまあ、目覚めるとこのお天気。山頂まで見渡せて、良いんじゃな〜い?テンションあがる。



登山口のすぐ脇は夜中でもいっぱいだったけど、離れたところは結構空いていた。だけど夜が明けて車の外に出ると、端の方まで車がびっしり。大型バスもいっぱい。中から御嶽教の信者さん団体が白装束で続々現れる。ご苦労様です。



6:20、登山口。登山口脇には、「本日御嶽スカイレース開催」的なことが書いてあったけど大して気にせず出発。あとから大いに困った。まあ困っても仕方ないんだけどさ。



序盤は歩きやすい石段。信者さんたちの集う遥拝所のあたりまではこの石段がきれいに整っている。こうして信じるものがあって、しかもみんなでこんな麓まで訪れている信心深さがとても羨ましい。



7:30、八合目。小さな避難小屋がある。



7:50、富士見岩。全国に「富士見」という地名はあるそうだけど、やっぱり富士が見えるとオオッって思うのは時代に関係ないんだろう。まあ私は富士山がどっち方面にあるのかも分からない。どっかに見えていたのかもしれないけど。天気良かったからね。



8:10、一口水。山と高原地図には「岩の間から滴り落ちる程度」と書いてあったけど、この日はジャージャー流れていた。日によって違うんだろう。



8:50、大滝頂上奥社。ここは一応頂上という名は付いているものの、御嶽の最高地点は剣ヶ峰。もう少し先になる。



大滝頂上奥社から先は広大な稜線になり、風景ががらりと変わる。雲も出てきた。荒涼たる風景に、浄土を、あるいは地獄を見た人々の気持ちへ思いを馳せる。



9:00、まごころの塔。このあたりに差し掛かったころ、後方からわーっと声援と拍手。振り返ると……



御嶽スカイレースの先頭集団が走ってきた。実はこの登山道、行程こそ短いけどとても斜度が急でツライ。そこを走るってちょっとおかしい!!



9:30、山頂。大抵の山の頂上には祠や神社が祀ってある。ここは3000m峰の中では格別に立派。さすが名だたる山岳信仰で。



「撮りますよ(だからこの後撮ってください)」と声を掛けられ、撮っていただく。まあ私はあんまりこういう記念写真ってのに興味ないので、二人そろって撮ることに意味は感じないけど、別に強硬に断る理由も一切ないので、記念にパシャリ。



頂上を過ぎると、途端に一般登山客が減る。どれ、静かに山頂でも巡りましょうかね、あああの二ノ池のなんという青さ……!



とか思ってるとガンガンレース参加者が追い抜いて行く。その都度立ち止まり、ルートを譲らなければならない。この日のためにさぞ特訓積んだんでしょうね。頑張ってね。でもほんと邪魔……



11:00、二ノ池のほとりで昼食を採る。万年雪が残っていた。



雪の近辺をイワヒバリちゃんがついばみながら歩いていた。相変わらず、ほとんど人を恐れない。急に近寄ったりすれば逃げるけど、じーっと立っている限りは、ほんのすぐ間近にまでやってくる。可愛らしい……



お鉢を一周し下山し始める。ルートは王滝頂上方面へ。見上げれば剣ヶ峰頂上。


下山はとにかく、レース参加者の最大集団とかぶりもう最あ……いや、大変だった。常に後ろをチラチラ気にしながら、追い付かれたら道を開け、気が散るというか、張るというか、とにかく気になって仕方ない下山だった。距離は短いから肉体的にはそれほどでもないはずなんだけど、なぜかすごい疲れた。

まあなんにせよ、下山してすぐに自販機があって、下りた瞬間キンキンのコーラを飲めるのは格別!!晴れてたし、バッジも買ったし、まあ目的は達成できた。レースがちょっとねえ、あれだけど。まあレース出てる人にとっては私が邪魔だったんだろうね。