十二日目・茨城、千葉


今回の旅の中で、最も重要な日がやってきた。
そもそもこの旅を計画したのは、父の車を処分する前にたくさん走らせようと思ったから。そして父が大切にしていた車で、最後まで気にかけていた父の友人たちを訪ねていけば、父も車も浮かばれるだろうと考えたから。茨城と千葉に住む父の友人たちにそれを話すと、快諾いただいた。この日は、私のスケジュールに合わせて時間の都合をつけていただくことができた。



朝ごはん。控えようと思ってもついつい食べてしまい、朝からこの量をぺろりと平らげてしまう。味も素朴で美味しかった。



茨城へ行く前に、海を渡ったり高速を走ったりでとんでもなく汚れていた車を洗浄。ここのスタンドは一番安い300円コースでも結構きれいになったなあ。

そして約200キロの距離を走り、ひたちなか市のU氏の家へ到着。ご夫婦に歓待いただき、奥様の心づくしの手料理に舌鼓を打つ。人に作って頂く家庭料理なんて、いつ以来だろうか。食事をしながらお話をしてお庭を拝見して、楽しいひと時を過ごしたあと、U氏が短い時間を縫い、駆け足で茨城観光に連れ出してくださる。



最初に訪れたのは酒列磯前神社(さかつらいそざきじんじゃ)。参道の木は自然のものを生かしているため、このようにくねくねしているとのこと。



宝くじで高額当選を果たした人が奉納したカメ。
高額当選者の人生は狂うことが多いと言うが、この信心厚い人のその後は如何に。



水戸光圀公が腰掛けたという石。



立派な社。



続いて阿字ヶ浦の海沿いを走る。



この辺り一帯に海からニョキニョキ出ているこの岩は酒列石といって、語源はさっきの酒列磯前神社によるとか。白亜紀層で、アンモナイトの化石も出るんだって。磯遊びに興じる人がたくさんいた。



斜めに突き出た岩の中で、写真中央の矢印の部分だけ平らになっている。この部分を特に『清浄石』と名付けられており、神々がここに漂着したとかしないとかしたとか。



続いて訪れたのは大洗磯前神社。さっき訪れた酒列磯前神社の兄弟社。寺でいう山門のような建造物が社の前に建っていた。私の住む愛知でそういう神社の造りはほとんど見かけない。社の方は残念ながら工事中だった。



続いては、少し車を走らせ鹿島神宮へ。まだ新しくて巨大な鳥居。



国歌にある、さざれ石ってこういうのだって。



奥宮。本殿よりも、こちらの方が風情ある佇まい。



中央で僅かに覗いているのが『要石』。上に出てるのは氷山の一角で、地面の下にはたいそうな巨岩が埋まっているらしい。地震を起こす大ナマズがこの要石によって抑え込まれてるので、ここらでは大地震が起こらないそうな。


じっくり見ていけばそれぞれ見どころの多い各所を、効率よく流れるように案内してくださったU氏に感謝。そのままU氏と同乗し、一路千葉市を目指す。茨城から先は、とにかく進めば進むほど都会の様相を呈し、戻ってきたんだなあとしみじみ実感する。



U氏のナビにより迷うことなく千葉に到着後、父の友人M氏ご夫妻のお宅でしばらく歓談し、夕食のため場所を移す。私などはおいそれとは入られないような、とても雰囲気のいい料亭然としたお蕎麦屋さん「との山」へ。



この日お世話になった、U氏とM氏ご夫妻。とても楽しいひと時を過ごし、旅の良いしめくくりになった。こんなに良くしていただいて、父はなんて言ってるんだろう。喜んでいるんだろうか。それとも、手土産もなくご馳走ばかりになっていた私に、文句の一つ二つ言ってるんだろうか。まあどっちもだろう。本当に有難うございました。



この日の宿は、千葉公園近くのビジネスホテル。選択の基準は駐車場が無料だったからという一点につきるが、朝食無料のよくあるビジホで、何の問題もなくぐっすり休むことができた。