発表会の舞台裏


もうすぐ娘の発表会。これまで自分が舞台に立つことがあってもステージママ活動は完全に放棄してきたので、自分とは無関係の舞台を手伝う初めての発表会になる。

最近まで娘(と私)が在籍していた教室は主宰先生がバレエ団に在籍したこともない、ビジュアルもテクニックもマズい、バレエに対する厳しさもない同好会の延長みたいなところだったので、今回の教室は非常にしっかりしてるように感じる。ルールが明文化されてて、やらなきゃいけないことがきっちり割り当てられている。ていうか今までがゆるすぎで、こっちが普通なんだけど……。
バレエの発表会っていうのは、出演する子供の母親が裏方をやらなければ舞台が回らない。母親たちは舞台裏を駆け回って、受付での慣れない接客やら、やったこともないバレエメイクやら、衣装の背縫いに弁当の手配、楽屋菓子やゲストダンサーへの対応、舞台袖での出演者の整列等、要は舞台屋さんが請け負わない些末な雑用は全て親たちのボランティアで賄う。そういうのを委託できる業者はまずないし、もしあったとしても費用は膨大になり、その費用は出演者たる自分の子供たちの参加費に加算される。元より高額なバレエの出演費、これ以上の支出を抑えるには自分たちが働くしかないわけ。だからいくら裏で慌ただしくとも、自分の子どもの出番すら座席で見ることもままならなくとも、母親たちは裏を駆け回る。何で母なのかと言えば、着替えがあるから。うら若き中高生が裸同然で過ごす楽屋に男性は入れることができない。ここにはジェンダー論の入る余地がない、とにかく母親といえば母親が手伝うのである。父子家庭の子がいれば、女性の付き添いを見つけるしかない。それができなきゃバレエは習えない。

さてこんな感じで慌ただしく進行していく舞台裏。幼児の付き添いなどは特に大変で、私はこれまで神経をすり減らしてきた。うちの娘はただでさえ問題児だというのに、私が同じく出演者であるために面倒見ることができず、うちの子だけ特別に他の親にお願いしたり(他の親だって忙しいのに!)、自分の親に頼んだものの孫の面倒見きれず失踪されたり(まあ私の母親ほどいい加減な人間はいないのにそんなのを頼った自分が馬鹿だった)、とにかく太る一方の私をして身の細る思いをしてきた。

前置きが超長くなったけど、要するに小さい子供を出演させる親はとても大変なわけ。でも生徒数の多いバレエ団なんかでは親の人数も膨大になるから、親がうろちょろしてると邪魔になるので、保育園方式に楽屋から親を締め出し、係の人が一括して幼児、児童の面倒を見る、という方式があるらしい。
なんと今の教室はその方式だった!
こんな嬉しいことがありましょうか。なぜこれが一般化しないかと思われるほど合理的。勿論その分の仕事は担当することになるけど、全然良いです、いくらでもやります、ええ、ええ。初めての発表会裏方は、これまでのように、生意気一方のうちの糞ガキに一日中貼り付いて神経をすり減らすことにはならずに済みそうです。